三、へし切長谷部のなんでもない一日と回想

刀剣乱舞合歓木本丸

「あれ?主、今日は長谷部君とまんば君とで、書類の整理じゃなかった?」

三人分の昼食を持って来た燭台切が、お盆を抱えたまま不思議そうに首を傾げた。

「ああ、長谷部が寝ちゃったから、まんばと一緒に昼寝させた。悪いけど、二振りの分は、まんばの部屋に持って行ってやってくれないか?」
「分かったよ。冷めてもおいしい物にしておいて正解だったね」
「あ、あと今日のおやつ、少し多めに作って貰ってもいい?」
「いいけど……もしかして、アレ?」

部屋の中にある大量のいらない資料と、審神者の悪戯っぽい顔を見て、燭台切は審神者がこれから何をするつもりなのか察した。

「ああ、アレだ。急だけど、頼めるか?」
「オーケー、分かったよ。今日はミックスフルーツにするつもりだったから、ゼリーでも足してかさ増ししておくよ」
「頼んだ、楽しみにしておくよ」
「じゃあ、昼食はここに置いておくから。食器はまた時間を見て、取りに来るよ」
「分かった。ありがとう」

燭台切が部屋を去った後、料理が冷めないうちにいただいてしまおうと、パソコンの作業をきりのいい所まで終わらせた。

「なぜ貴様まで寝ているんだ!ある程度睡眠が取れたら起こせといつも言っているだろう」
「……あるじが長谷部が起きるまで、昼寝の時間にしようといった……だから、もんだいない」
「大ありだ!これではいつまでたっても作業が進まないではないか!」
「きょうはそこまで急ぎではない……あるじも、今日は休み休みでやろうといっていた……」

 審神者が昼食を取り終えて、しばらく続きのパソコン作業をしていると、何か言い争う声と、バタバタと慌てた足音が執務室へ近づいてきた。
一体何事かと手を止めると、国広を脇に抱えた長谷部が、慌てた様子で入ってきた。

「お、おう。おはよう二振り共。そんな慌てなくてもよかったのに」

あまりの長谷部の慌てぶりに、審神者は思わずたじろいた。

「すみません主、随分眠ってしまったようで」
「別に構わないさ。それよりも二振り共、昼食は食べたか?燭台切が、まんばの部屋に持って行ってくれたみだいだが」
「それはちゃんと頂いて、食器も厨に返しました。俺は引き続きパソコン作業で大丈夫ですか?」
「ああ。半分以上は出来上がっているから、残りを頼むよ。それが終わったら、まんばと一緒にファイルの整理を頼んでもいいか?」
「分かりました。……おい、いつまで寝ているんだ。さっさと起きろ」
「……まだねむい」

長谷部が抱えている国広を揺らして起こそうとするが、国広は未だうとうととしていて、揺さぶられるがままだった。

「今日は出陣は無いから、そこまで眠くはないはずだろう。寝るなら終わってからだ」
「うう……わかった」

床に下ろされた国広は、目を擦ったり首を振ったりして、なんとか起きようとした。

「ふふっ」
「主?」
「なんだそのめは……」

二振りのやり取りを見ていた審神者が小さく笑うと、目を丸くする長谷部と、まだ寝ぼけ眼の国広が、審神者を不思議そうに見返した。

「いや、悪い。二振り共、随分と仲良くなったなあって思ってな」
「……そうか?」
「だって、最初の頃は二振り共、あんまり仲良くなかったじゃないか」
「あれはこいつが悪いんです」
「長谷部が根を詰め過ぎなんだ、それで倒れたら意味がないだろう」
「あ~ハイハイ、言い争いが一番作業が進まないからな?手を動かそうか二振り共」

ようやく眠気が取れた国広と長谷部が、言い争いを始めようとしたので、審神者は軽い口調でそれを止めた。
言い争いを止められた二振りは、渋々と作業に戻った。

「しっかし、どうやってあの時仲直りしたんだ?」
「まだその話続いていたのか……」

国広が呆れ混じりに呟くと、審神者がそれに食いついた。

「だって気になるじゃないか、気が付いたら仲直りしていたし。なあ、どうやって仲直りしたんだよ?」
「そうだな……」
「そうですね……」

長谷部と国広はそれぞれ、その時の事を思い出した。

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