「……おや、ここにいましたか」
「どこ行ったんや蛍……って、ここにおったんか」
小夜と蛍丸を探していた江雪と明石国行は、たまたま同じタイミングで三日月の部屋にいた二振りを見つけた。
すっかり日も昇っていたので、小夜は横向きに丸まって、蛍丸は仰向けになってすやすやと眠っている。
「おや、江雪に明石。そんな所でどうした?」
「三日月殿」
後ろからの声に江雪が振り向くと、三日月が短刀達の昼寝用の、青い掛け布団を持って立っていた。
「二振り共先程眠ったばかりでな、布団を探していたのだ」
そう言って三日月は、眠っている二振りにそれぞれ掛け布団をかけた。
「すんませんなあ、三日月はん。どうやらうちの蛍丸がお世話になったみたいで」
「うちのお小夜もお世話になったようですね。ありがとうございます」
「いやなに、二振り共このじじいの暇を潰すのに、付き合ってくれたのだ」
「そうでしたか……おや、これは」
江雪が足元に散らばっている紙に気づいて、その一枚を拾い上げた。
そこに描いてあるのは、月夜に照らされ、蛍が舞っている夜顔の色鉛筆画だった。
月の光で夜の闇に白く浮かび上がる様に描かれた夜顔は、蛍が舞っていてとても幻想的に描かれている。
その出来の良さに、江雪は柔らかく口角を持ち上げた。
「これは、お小夜の絵ですね……よく描けています」
「お、こっちは蛍の絵ですか」
同じく明石が散らばったもう一枚の絵を拾い上げると、こちらは明石と愛染の眠っている姿が描かれていた。
仰向けになって少し寝苦しそうに眠っている明石と、その腹に頭を乗せて大の字で眠っている愛染は、子供らしい単純な線ではあったが、表情やポーズなどがしっかりと特徴が捉えられている。
「何や寝苦しいと思ったら、やっぱり国俊が乗ってたんか。よお描けてますやん」
声には表れてはいなかったが、明石もどこか照れ臭そうな顔で笑った。
「二振り共よく描けているだろう?」
「ええ、とても」
「ほんまですな、他にも何か描いたんですか?」
そう言って明石が他の紙を拾い上げると、そこには絵を描いている蛍丸と小夜の絵が描かれていた。
背景は全く描かれておらず、ただの黒い鉛筆で描かれただけの物だったが、絵の中の彼らは互いの絵を見せ合って、何かを話している様子で、とても楽しそうな表情を浮かべていた。
「……おやおや、二振り共ええ顔してますやん」
「ああ、それは俺の絵だ。元は別の絵を描いていたのだが、二振りが描いている姿を見て、ついこちらも描きたくなったのだ。こちらも中々良く描けているだろう?」
「ええ、二振り共楽しそうに描かれています」
三日月の絵と、すやすやと眠る二振りを見比べて、江雪と明石は再び優しい顔をするのだった。
2019年12月31日 Pixivにて投稿

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