七、鶴丸国永の失踪事件と寝床探し

刀剣乱舞合歓木本丸

「相談があるって聞いたが、何があったんだ?」
「いや~……まあ、ちょっとな」

 まだ本丸が出来て数か月しか経っていない頃の事、薬研が手入れ部屋で包帯の数を確認していると、顕現してからまだ二週間も経っていない鶴丸が手入れ部屋を訪れた。
とりあえず鶴丸を薬研が座っている向かいに座布団に座らせて、話の内容を聞くために薬研は作業を止めて胡坐をかいた。
「ははは……」と鶴丸は乾いた笑い声を上げてはいるが、その顔はどこか覇気がなく、色白の顔が紙のように更に白くなっていた。

「……ちょっと聞きたいんだが。薬研は寝るまでに大体どれくらいかかっているんだ?」
「寝るまでにか?そうだな……数分もしない内に気が付いたら寝ているな」
「やっぱりそうか……」
「眠れてないのか?」
「……実はそうなんだ」
  
 鶴丸は観念したように頬を指で掻いた。
彼の話をまとめると、鶴丸は睡眠はとれていたが寝付くまでにかなりの時間がかかるせいで、睡眠時間が足りておりず、その上一旦寝てしまったら自分では起きられないらしく、いつも決まった時間に誰かに起こして貰っているので、日に日に体の調子を悪くしていたのだ。
睡眠が足りていないと、体を巡る霊力の流れが悪くなり、霊力が不足して体が思うように動かなくなっていく。
彼の顔色が悪くなっていたのはその症状の一つでもあるのだろう。
鶴丸自身出陣しても最近自分の思うように動けず、いらない負傷が増えているせいで、上手く武勲を上げる事が出来ていない事を気にしていたのだ。

「ううん……こういう時に眠かったとか、よく眠れたとかはあったか?」
「そうだな……寝る姿勢とか変えてみたり、風呂もなるべくゆっくり入ったりしてみたりもしたんだが、どうも俺には合わないらしくってな。これといったいい方法が見つかってないんだよな」
「成程な、まあ今の所は必ずこうすれば誰でも治るって方法は無い。それぞれの体質によって対処法が違うからな。まずは自分の体質を理解する事が大事だ。これから一緒に見つけていくとしようぜ」
「ああ、そうだな」

薬研の言葉に、鶴丸は若干疲れた顔で彼に微笑みかけた。
それから枕を変えたり、短刀達と昼寝をしたり、誰かと一緒に寝て貰ったりもしたが、どれも効果は芳しくなく、手詰まり状態となっていた。
そうしている内に睡眠不足は悪化しており、鶴丸の目の下には薄っすらと隈が出来てしまっていた。
それでも幸か不幸か、彼はそういった事を隠すのが上手かったため、一部の者を除いて誰にも気づかれる事は無かった。

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