「こっちですよ!」
「えいっ!」
「おっとと」
本丸にも少しずつ刀が増えて何とか起動に乗り始めはしたが、まだまだ駆け出しの本丸である事には変わりない。
ある日無理をした審神者と初期刀の山姥切国広が同時に倒れて、急遽全員非番になった前田、五虎退、厚、薬研、乱、鯰尾、そして鶴丸は、庭でボール投げをして遊んでいた。
何だかんだ面倒見のいい鶴丸は、短刀達によく遊びに誘われては、その輪の中に入って遊ぶ事も多く、今回も彼らに誘われて一緒に遊んでいた。
「ああっ!」
飛んできたボールを五虎退が取り損ねてしまい、ボールは彼の手に弾かれて音を立てながら空高く舞い、裏庭の方へ飛んで行ってしまった。
「ううっ……すみません」
「大丈夫だ、五虎退のせいじゃないさ。さて、そんなに遠くに行ってないだろうから、さっさと取ってくるとするか」
飛んでいってしまったボールの方向をしっかりと見ていた鶴丸は、涙ぐむ五虎退の頭を一撫でして、小走りで裏庭の方へボールを探しに向かった。
「え~と……どこだ~?おっ、あったあった」
裏庭をキョロキョロと見渡していると、ボールはすぐに見つかった。
しかし見つかった場所が少々厄介で、宗三が新しく趣味で始めた花壇の隅の石垣に引っかかっていた。
そのまま取ろうとすると、鶴丸の体格では花を傷つけてしまうので、たまたま足元に転がっていた木の枝でボールをつついて、石垣から外そうとした。
が、そう上手くいくものでもなく、変な力が入ってしまったのか、ボールは石垣から外れると、勢いよく屋敷の縁側の下に転がり込んでしまった。
「あちゃー……。横着はするものじゃあないな」
腰に手を当てて頭を掻いても、ボールは帰ってこない。
自分でやってしまった事なので、鶴丸は仕方なく四つん這いになって、縁側の下に潜り込んだ。
窮屈ではあるが高さはあるので、大人の体格の鶴丸でも進めない程ではない。
時々頭をぶつけながらも、何とかボールを回収する事に成功した。
その時ふと、鼻を掠める匂いに気がついた。
もう一度嗅いでみるとそれは土の匂いで、この場所がとても静かな場所に感じた。
それが鶴丸には酷く落ち着ける場所に感じて、気がつけばその場に横たわって目を閉じていた。

コメント