十、くろのすけと鯰尾藤四郎の本丸視察

刀剣乱舞合歓木本丸

「いらっしゃい。すまないな、何分起きるのが遅くって」
「いえ、構いません。さっそくですが、簡単に健診をしてもかまいませんか?」
「ああ。頼むよ」

 粟田口の刀達に囲まれながら昼食を食べたくろのすけは、鯰尾と一旦別れて、ようやく起きた審神者の元へ通された。
簡単な挨拶だけすませて、くろのすけはどこから出したのか、小さなカバンから小さな聴診器などを取り出した。
慣れているのだろうか、くろのすけ短い手足で医療器具を使って、手際よく審神者の健診を進めていった。

「異常はありませんね。お疲れ様でした」
「ああ、ありがとう。視察は明日までだったよな」
「ええ、もう半日程よろしくお願いします」
「終わりましたか~?」

くろのすけと審神者が互いに礼をした所で、鯰尾が障子を開けて執務室に入ってきた。

「うん、じゃあ引き続き本丸の案内を頼むよ」
「分かりました!……次はどこに行きましょうか、行きたいところとかありますか?」
「そうですね……この本丸らしい所を見せていただければと思いますが」
「じゃあ、昼寝スポットでも巡ったらどうだ?」

次の行先を考えていた鯰尾達に、審神者がさらりと提案した。

「昼寝スポットですか?」
「昼餉も終わって、そろそろ昼寝しはじめる刀達が出てくる時間帯だし、睡眠をを大事にしているうちの本丸の特徴らしいだろ?あ、でも皆寝ているだろうからなるべく静かにな。なんだったらくろのすけも昼寝するといいよ」
「なるほど~じゃあ、それにしましょう!昼寝スポットと言えば……」
「まんばなら、そこの木で寝そべってるぞ」
「……!?」

 審神者が障子を勢いよく開けると、近くの木の枝の上で、まるでベッドの上でくつろぐかの様に、うつ伏せで寝そべっている山姥切国広がいた。
ちょうど昼寝しようとまどろんでいた所を、急に大きな音を立てて開いた障子から、全員の視線を向けられた国広は、驚きで一気に眠気が醒めた。

「え……なんだ?」
「ちょうどよかった隊長さん!今から昼寝するんだったら、視察の一環で本丸のお勧め昼寝スポット教えてください!」

いつも本丸のあちこちで昼寝している国広を適任とばかりに、事情が分からないままポカンとしている彼に、鯰尾が声を掛けた。

「俺でいいのか?……そんなに上手い解説とかは出来ないぞ?案内とかだったら鯰尾だけでも、何だったら厚とかでも……」
「厚は夜戦で今疲れ気味だから、ちゃんと寝かせてやりたいんだ。お願いできるか?」

 無事厚樫山を突破した第一部隊は、それまで連日の出陣を労って数日休む事になった。
新たに解放された戦場は夜の戦場なので、それに入れ替わる様に厚藤四郎率いる第三部隊の出陣回数が増えた。
隊長である厚は毎回の出陣で、見事な指揮をとって見せたが、やはり疲労は蓄積するもので、しばしば疲れたようにぐったりと寝ている姿が見られた。
それを知っている国広は、審神者の言葉で少し考えた後、昼寝スポットの案内を了承した。

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