十三、沖田組の本丸大掃除

刀剣乱舞合歓木本丸

「今日晴れて良かったね」
「雨と雪が降ったら延期だからね。さすがに出陣しない日は中々増やせないし」

 翌日、朝餉のおかずを受け取って、加州と大和守は湯気が立つ朝食を乗せたおぼんを持って、大広間に向かっていた。
大和守が上を見上げると、彼が昨日望んた通りに澄んだ青空が広がっていた。
簡単な大掃除の打ち合わせをしながら、廊下の曲がり角を曲がると、彼らと同じ様に自分の朝食を運んでいた審神者に出くわした。
廊下の向こうに誰かがいるとは思っていなかった審神者は、少し驚いた様に目を見開いたが、すぐに加州達の事に気づいて、彼らに笑いかけた。

「おはよう加州、大和守」
「おはよう主、今日は早いね」
「おはよう。何だか主がこの時間に起きてるのって、変な感じだね」

審神者がこの時間に起きてくるのは非常に珍しい。
大和守がその事を真っ正直に言うと、審神者は「あはは」と肩を揺らして笑った。

「確かに、いつもならもう三、四時間は寝てるからな。昨日の出陣メンバーが全員無傷で帰ってきてくれたから、いつもより霊力の消費も抑えられたし、いつもより早く寝たんだよ。大掃除の日に自分だけ寝ている訳にはいかないからな」
「主!」

少し離れたところから別の声が飛んできたので、全員がそちらに振り向くと、今日の近侍で加州達と同じ掃除当番である蜂須賀虎徹が小走りでやってきた。

「部屋に起こしに行ったら、いなかったから探したよ。珍しく早起きだね」
「おはよう蜂須賀。部屋に迎えに来てくれたんだ、ありがとう」
「あ、おはよう蜂須賀」
「おはよう蜂須賀、今日は主の部屋の掃除の手伝いよろしく」
「おはよう、加州、大和守。主が正月を気持ちよく過ごせるように、綺麗にしてみせるさ」
「ははは……お手柔らかに頼むよ」

審神者は自分の部屋の散らかりようを思い出しながら、乾いた笑い声をあげた。

 蜂須賀は毎年大掃除の日に必ず近侍を任される。
審神者が仕事をする執務室は大事な資料などがあるので、事前に他の刀と掃除や整理をするが、執務室の奥にある審神者の自室は大掃除の日に掃除をする。
掃除当番が大掃除の時に毎年行っている、部屋の見回りチェックが一番厳しい蜂須賀が近侍として、審神者の掃除の手伝いをするのだ。

「さあ、そろそろ大広間に行こうか。皆も待っているだろうし、朝餉も冷めてしまうよ」
「それもそうだな。じゃあ行こうか」

蜂須賀の言葉で、審神者達はぞろぞろと大広間へ向かった。


めったに朝餉の時間には起きてこない審神者を珍し気に思いながらも、本丸の刀達は審神者に挨拶をして朝餉の時間は過ぎていった。
そろそろ皆食べ終わった頃合いを見て、審神者は手を叩いて皆の注目を集めた。

「はい注目!一時間後の半刻後に大掃除を始めるから、朝餉を食べ終わった刀からそれぞれ用意してくれ。充てられた分担の場所の掃除が終わった刀は、他の忙しそうな所を手伝うように。じゃあ注意事項は……加州、大和守、頼んだ」

審神者が彼らに目を向けると、審神者の近くに座っていた加州と大和守はその場で立ち上がった。

「前から役割分担は伝えてあるけど、一応分担一覧の紙を厨の入り口の近くに貼っておくから、食器を片付ける時にでも確認しておいて。昼餉の後に一度俺達が見回りに行くから」

加州はそう言いながら、手に持っていた役割分担の紙をひらひらとさせた。
隣に立つ大和守もそれに続けて、注意事項を付け加えた。

「もったいないからゴミ袋には適当に突っ込むんじゃなくて、足とかで押し込みながら袋は閉じてね。他にも備品が少なくなってきたら買いに行くから早めに言ってね。僕達は今年も玄関を掃除しているから、何かあったら聞きに来て。……伝える事はこれくらいかな?清光」
「ん、そーね。じゃあ俺達からは以上!じゃあ主、最後はお願いね」
「よし、ありがとう二振り共。今日の大掃除は四時の申の刻まで!今年の汚れは今年中に払ってしまおう、じゃあ解散!」
「「「「おー!!!!」」」」」

審神者の言葉に応える様に、本丸の刀達は一斉に声をあげた。

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