十四、沖田組の本丸大掃除 二日目

刀剣乱舞合歓木本丸

歌仙兼定

「彼の部屋で一番最後だな……。順番を一番最後にしたから、もう終わっている事を祈るけど……」

 自分に割り振られた見回りの分の部屋も、残す所あと最後の一振りとなった蜂須賀は、その最後に回る事になっている刀の事を思って、小さくため息をついた。

「失礼するよ。歌仙、部屋の掃除は……終わっていなかったんだね」
「えっ、蜂須賀?……もうこんなに時間が経っていたのかい!?」

 蜂須賀が部屋の戸を開けると、部屋の半分近くを占領している茶器を入れた箱や、掛け軸や歌が綴られた短冊を入れた箱に囲まれる様に、その内の一つの箱から取り出した綺麗な茶器を掲げて、それを見惚れている歌仙が部屋の真ん中に座り込んでいた。
ちっとも掃除がはかどっていない部屋を見て、蜂須賀はがっくりと肩を落とした。
 毎年の大掃除の部屋の見回りで、掃除当番の刀達が自分の見回りに充てられたくない部屋の一つが歌仙の部屋だ。
彼は茶器や綺麗な掛け軸を集めたり、歌を詠んでは短冊にそれを綴って一句も残さずそれを保管している。
その為彼の部屋はそういった物ですぐに溢れかえってしまい、部屋の片づけをするのにいつも他の刀よりも遥かに時間がかかるのだ。
彼自身が決して片付けができない訳ではない。
しかし、いざ整頓をしようとすると、掛け軸を広げたり茶器の中身を見ては、その度に片付けの作業が止まってしまい、いつまでたっても終わらないのだ。

「はあ……君は厨や他の場所の掃除はすごく手際が良いのに、何故自分の部屋はこんなに時間がかかるんだ」
「面目ない……何を入れていた箱だったかと開けてみたら、入っていた物に見とれてしまってつい」

彼自身も片付ける意思はあるので、歌仙は若干申し訳なさそうに眉尻を下げた。

「君の茶器や掛け軸は確かに良い物が多いし、ぜひ一度時間をかけて見てみたいとは思うけど、一度に全部部屋に広げて見る事は無いだろう?倉庫にまだ置いておける場所があるから、今の季節に合わない掛け軸とかはそこに運ぼう。もちろんどうしても置いておきたい物以外の茶器とか短冊を保管する箱もだよ。せめてそこの押入れに収まる位の量にしておかないとね」
「ええっ、それだと半分も置いておけないじゃないか」
「やっぱり歌仙を一番最後に回しておいて正解だった……」

蜂須賀の容赦ない判断に歌仙は焦った声を出し、そんな彼の様子を見て蜂須賀は、これは時間がかかると思いながら頭を抱えた。

「ほら、手伝うから今日中に終わらせるよ。片っ端から置くか運ぶか選ばせるからね」

その後蜂須賀の怒涛の二者択一に、歌仙は頭を悩ませながらなんとか残しておきたい物を選び抜き、日がどっぷりと落ちた頃にようやく部屋を片付ける事ができた。

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