十五、大倶利伽羅と本丸図書室

刀剣乱舞合歓木本丸

 一週間後、本丸の図書室に荷物が届いた。
大倶利伽羅の手配していた本が届き、図書当番達は朝から新しい本を貸し借りができるようにする為に、それぞれの本にポケットを付けて貸出カードを作る作業をしていた。

「新しい本を入れるだけで、結構色んな手間がかかるんだな……」
「どの本がいつ貸し出されたのか分かるようにする為の大事な作業だ。一冊も漏れなくしないといけないぜ」

本にポケットを付ける単純作業に若干げんなりとした表情を見せる肥前に、鶴丸は笑いながら彼の横で図書館で保管している本の一覧が乗っている記録書に、新しい本の題名を書き連ねた。

「なるほど、図書室の本はこういう風に用意されているのだね」
「本丸の中で一番早く本が読めるから、結構役得な作業なんだよね」
「兄者、漫画を読むのは作業が全て終わってからだぞ」

段ボールから本を取り出している膝丸を見ながら感心する南海の隣では、髭切が早速自分が希望していた漫画を読み始めていた。
それを膝丸が見逃さない訳が無く、やんわりとたしなめながら彼が持っていた漫画を取り上げた。

「そういえば栗坊君はどうしたんだい?」
「どこぞのゲームのキャラみたいになっているが伽羅坊の事か?伽羅坊なら今取り寄せていた古書店の本を取りに行って貰っている所だ。もうすぐ帰って来ると思うぜ」
「戻った」

噂をすればなんとやらで、大倶利伽羅が古本屋の紙袋を持って帰って来た。

「お帰り伽羅坊」
「おかえり」
「古本屋の取り寄せ分は無事に入手できたか?」
「ああ」

出迎える刀達にそれぞれ言葉を返しながら、大倶利伽羅は手に入れてきた本を、今日届いた本と一緒に並べ始めた。

「うむ、全て揃っているな。……む、その本は希望のリストに入っていたか?」

膝丸が大倶利伽羅が並べている本を見ていると、一部取り寄せた覚えがない本が数冊積み上がっていた。

「ああ、これはあんたの分だ」
「僕の分?」

 大倶利伽羅は膝丸が指摘した本を手に取ると、南海にそれを手渡した。
さっそく手渡された本を確認すると、それは先日南海が大倶利伽羅に手渡したリストの中にあった本だった。

「確か却下と言っていなかったかね?」
「全ては無理だと言ったんだ。古本屋と古書店でかなり安く本が買えたから、浮いた金で購入できた。それとこれを」

驚いた顔のまま固まっている南海を気にせず、大倶利伽羅は古本屋の店主に預けていた茶封筒の中身を取り出して手渡した。
茶封筒の中身は南海が彼に渡していたリストで、本の題名の隣に一つずつ赤文字で何かが書き足されていた。

「古書店の爺さんに取り扱いがあるか調べて貰った。一部は万屋街の図書館でしか閲覧ができない物もあるらしい。図書室では今年はその数冊しか置けないから、残りはそれで自分で購入するなりしてくれ」

それだけ言うと大倶利伽羅は自分の作業に戻ろうとしたが、立ち上がろうとした彼の服の裾を、南海がつまんで引き止めた。

「何だ」
「ありがとう。大切に使わせてもらうよ」

南海はリストと本を大事そうに抱えて、大俱利伽羅に礼を言った。


翌日、本丸の図書室に新しい本が入ったと知らせが入り、新しい本を求めていつもより多くの刀が図書室に足を運び、年内でも数少ない賑わいを見せた。

2021年5月3日 Pixivにて投稿

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