空が赤く染まり、太陽が山の向こうに沈みそうになっていた頃、大広間では審神者から明日のイベントに向けて話がある為、全員でいつもより少しだけ早い時間の夕餉が取られていた。
皆がある程度食事を終えた頃、審神者は部屋の隅まで響く音で、二発手を叩いた。
それぞれ談笑を楽しんで賑やかだった大広間は、水を打ったように静かになり、皆上座に座る審神者の方に目を向けた。
「皆聞いてくれ、まずは皆今日まで明日からのイベントに向けての準備をしてくれてありがとう。それと明日のイベントへの説明が遅くなってすまなかった」
立ち上がった審神者は、まず今日を働いた刀達に労いの言葉をかけた。
「知っての通り、明日から政府からのイベントである連隊戦が始まる。うちの本丸も練度が高くなった刀が増えたから、今回の連隊戦は積極的に報酬を狙って参加していこうと思っている」
「目標は大きく分けて二つ!」一層大きな声を上げて、審神者は自分の身体の前で指を二本立てた。
「まずは夜光貝八万で得られる刀剣男士、治金丸の入手。後はいつもと同じで練度を上げて各自カンストを目指す事。今回は千代金丸と北谷菜切を部隊に入れると、戦闘を有利に進められると情報が入っている。二振り共練度がまだ低いから、一番敵の攻撃が当たりにくい部隊長として配置する。無理のない範囲でだが、二振りはほとんど出ずっぱりになるから、それは覚悟しておいてくれ」
「わかった」
「わかったよー」
審神者の言葉に、少し遠くに座っていた千代金丸と北谷菜切が頷いた。
「連隊戦では十回に及ぶ戦闘があって戦場の環境が変化する。夜戦と同じ効果のある合戦場も混じっているらしいので、それぞれの戦場に合った部隊に交代させながら進行する。なので部隊の編成は、昼間の戦場を担当する、千代金丸を部隊長とした太刀、槍、薙刀部隊。昼と夜の戦場どちらも対応できる打刀部隊。夜戦特化の脇差、短刀部隊を二つ、内一つの部隊長を北谷菜切とする。出陣できる時間が限られている刀もいるから、部隊の編成は固定せずにどんどん変える予定だ。刀装などの装備の受け渡しが大変になるだろうから、手の空いている刀は手を貸して欲しい」
審神者は一旦真剣に自分の話を聞いてくれる皆の顔を一通り見渡すと、「ああそれと」と付け加えるように言葉を続けた。
「一日中出陣する事は自分の霊力では難しいのと、皆の体質上編成に偏りが出る可能性があると判断したので、本丸全員が活動しやすい夕方から夜に集中して出陣する事にした。とはいえ戦場は夏の海だ。万が一の為に、手入れ部屋に薬研達救護当番を待機させておくから、体調に異変を感じた者はすぐに申告するように。その他詳しい内容と最初に出陣する部隊の編成は、厨の入口近くに貼って貰ったから、各自後で確認しておいてくれ。今日は皆早めに寝て明日に備えてくれ、以上だ」
「皆頑張って治金丸手に入れるぞ!」と叫んで審神者が拳を上に突き上げると、その場にいた一同が野太い雄叫びを上げて、審神者と同じ様に拳を上に突き上げた。
夕餉の後、本丸の刀達は厨近くの張り紙を確認し終わると、明日に備えていつもより早めに部屋の明かりを消した。
2021年8月16日 Pixivにて投稿

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