穴が開くほど見つめたい

刀剣乱舞刀剣展示感想あり短編小説

「村正、聞きたい事が……あ」
「おや、主。珍しいデスね、部屋に来るなんて」

 昨日出陣した戦場の事について気になる事があった審神者は、その部隊の隊員の内の一振り、千子村正の部屋を訪れていた。
審神者は部屋の主に声を掛けながら中に入ると、彼は自分の戦装束の手入れをしている所だった。
 戦場に行けばどうしても戦装束は破れたり、ほつれたりしてしまう。
真剣必殺で盛大に破れてしまった装束は、手入れ部屋で復元できるが、軽傷の場合は自分で補修した方が早い場合もある。
村正は小さく破れた戦装束の裾を、慣れた手つきで針と糸を使って直していった。
  
「ああごめん、明日の出陣の準備してたんだね」
「構いませんよ、少し待ってくださいね」
 
 立派な体格に対して、彼の指先は繊細に糸を操っている。
針仕事があまり得意ではない審神者は、器用だなと思いながらその場に座って、村正の手元をしばらく眺めていたが、ふと彼の膝元にある本体の刀が目に入った。
 
「よければ手に取って見てみマスか?」

かなりの時間、刀を凝視してしまったらしく、いつの間にか戦装束の手直しを終えていた村正は、審神者の前に自分の刀を差し出した。
 
「いいの?」
「ええ。ワタシが側で見ているので大丈夫デス」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」

審神者は背筋を伸ばして村正の正面に座り直すと、目の前に差し出された本体の刀を受け取り、ゆっくりと鞘から刀を抜いた。
 
 それは昨日手に取った同田貫よりも薄く、軽い刀だった。
身幅が茎から物打ち辺りまでずっと真っすぐ同じ幅の平行線で、鋒付近になってからシュッと細くなっている。
人によってはずんぐりむっくりと言う人もいるだろう。

 刀身は村正の刀でもよく見られる皆焼刃。
実際に手に持って間近で観察してみると、刀身全体にある細かな刃文の模様は火の粉が舞っているようにも、村正が妖刀と言われているイメージからか、ボコボコと何か怪しい液体が沸いているかような毒々しさも感じる。
少しだけ刀を斜めにすると、刃の部分はとても鋭く砥がれているのが分かる。
切れ味を測定した時、村正は数値が安定しなくて正確に計れなかったと聞いた事があるが、この刀の鋭さを見れば人間など簡単に斬れるだろうと確信できる。

「huhuhu……そんなに熱心に見つめられると、さすがのワタシも照れてしまいますね」
「あ!ごめん、長かったね」

余裕がありながらもどこか嬉しそうな村正の声に、審神者が慌てて刀を返そうとすると、彼はやんわりとその手を押し返した。
 
「いいえ、もっと見てもいいんデスよ?それともワタシも脱ぎまショウか?」

そう言って内番着の合わせをはだけ始めた村正を見て、審神者は少し考えた。
いつもは脱いだ状態の村正を見たら恥ずかしくて目を逸らしてしまうのだが、せっかく本体の刀を見せてもらったのだ、今日くらいはとことん付き合ってもいいだろう。
 
「うーん……じゃあ、褌かパン一なら!」
「huhuhu……いいでショウ、ワタシの妖しい魅力を存分に堪能してください」
 
その後、村正は審神者の前で下半身の下着のみを身に着けた状態で、自分の本体も使って渾身のポージングを行っていたので、部屋からの物音が気になって様子を見に来た蜻蛉切から、ふたりへ向けて今月一番の雷が落ちたらしい。

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