山姥切コンビの特殊討伐任務in足利

刀剣乱舞刀剣展示感想あり短編小説

「足利へ、討伐を?」
「ああ。俺と偽物くんの二振りで、と上からの命令だ」

 ここは時の政府、特殊討伐課。
審神者達が指揮を執る膨大な数の本丸では、歴史改変を目論む時間遡行軍を討伐するべく、審神者と審神者が率いる刀剣男士達は、過去の世界へ飛んで日々戦場を奔走している。
この討伐課は、本丸所属の刀剣男士達が飛ぶ過去の時代とは違う時代に時間遡行軍が現れた際に討伐に向かう、時の政府に所属する刀剣男士のみで編成された組織だ。
そんな特殊討伐課に身を置く山姥切国広は、己の本歌でもあり、ここでは先輩でもある山姥切長義から、次の討伐への指示を受けていた。

「『伯仲燦然』。覚えているか?」
「ああ。俺と本歌が足利と名古屋で同時に展示された展示企画……だったと思う」

自分のデスクで両肘をついている山姥切は、「正解だよ」と小さく頷き、机の端に置いていた資料の束を、向かいに立つ国広に手渡した。
目だけで「読め」と促された国広は、手渡された資料を最初から詳細に読まず、まずはざっと流し読みをし始めた。
 
「時代は令和、その展示期間の足利で、僅かながら時間遡行軍の気配が観測されたらしい」
「どうしてその時代なんだ?それだけ近代だと、人目以外にもSNSや映像媒体があるせいで時代の改変は困難だから、時間遡行軍も介入しづらいというのが政府の見解じゃなかったのか?」
「例外はいつだって発生し得るからね。初期刀の五振りの内一振りである山姥切国広、特命調査で監査官を務める山姥切長義。どちらもこの戦が始まってから重要な役割を任された刀だ。二振り共折れたら大幅な戦力ダウンになると考えたんだろう。ついでにその展示を見に訪れる審神者や、将来審神者になる人間も秘密裏に始末すれば一石二鳥だ」
「…………」 
 
山姥切が考えた想定を聞いて、資料に目を落とした国広は無言で眉を歪めた。
 
「それで、そこに向かった時間遡行軍を討伐すると」
「ああ。今回の任務の目的は美術館で展示中の刀を守る事と、周辺に潜んでいるかもしれない遡行軍の討伐。刀の展示は事前予約制で、個人が展示を見られる時間は一時間のみ。政府が協力を取り付けた本丸の審神者と交代で本体を守る。それ以外の時間は周辺を歩いて、潜んでいる時間遡行軍を討伐するんだ」
「分かった」
 
固い表情で頷いた国広を見つめると、山姥切は張りつめた空気を解いて、椅子の背もたれに凭れ掛かって姿勢を崩した。
 
「……と、言っても。今回は秘密裏に潜んでいる刀剣男士が多く出回っている。チケットとホテルも押さえてあるから、「変に気を張らずに、ついでに二振りで息抜きをして来い」……だそうだ」
「息抜き、か……」

資料を読み終えた国広がソワソワした空気を出し始めたので、山姥切は首を傾げた。
 
「どうした?」
「いや……少し、楽しみだ」
「……息抜きもできるとはいえ、ただの観光に行くんじゃないんだ。気は抜くなよ」

表情にはあまり出ていないが楽しみにしている様子の自分の写しを見上げて、山姥切は苦笑交じりに笑った。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!

コメント