2、「残念、はずれ」

ツイステッドワンダーランド生き別れのウツボの人魚

「クスクス……今日の授業で習った色変え魔法、わざと失敗させたらあんな事になるんだ。ふふ、もう少し色に種類が欲しかったなあ」

男がカラフルな粉に塗れながら悔しそうに悪態をついている姿を見て、スレイドは近くにあった物陰に隠れながらクスクス笑っていた。

 スレイドが放ったのは、本来は今日の授業で習ったばかりのただの色変え魔法だった。
小さな対象物に正確に魔法を当てるコントロール力と、あらかじめ指定された色に変えるイメージ力が必要なので、クラスの約半数はそれが中々上手くいかず、授業では四苦八苦していた。
スレイド自身はすぐにできるようになって、先生からも評価してもらえたが、何度も失敗しているクラスメイトの魔法を見て、逆にその失敗例に興味を持ち、それを再現できないだろうかと考えていたのだ。
わざと失敗するには、本来の正しいイメージからほんの少しずらして魔法をかけないといけないので、寮に戻った時に適当な的でもみつけて試してみようと思っていたが、自分に絡んで来たちょうどいい実験相手を見つけたので、ここぞとばかりに彼に魔法を試したのだ。

ひとしきり笑った後で、スレイドは自分の魔法の出来を分析し始めた。

「……あ。でもさっきのは色付きの煙みたいになってたけど、同じクラスの奴が失敗してる時はインクをぶちまけたみたいになってたなあ……何が違ったんだろう?やっぱり寮に帰ったら少し練習して、上手くできたらバイトに試してみよう。ふふ、きっと色んな色があって、びっくりするだろうなあ」

カラフルなインクを全身に浴びて、目を吊り上げて怒るバイトの顔を思い浮かべながら、スレイドは再び小さく笑い声を上げながらその場を去っていった。

「ねえ、見た?」
「ええ、見ました」
「あの魔法、見た事あるよね。覚えてる?」
「ええ、僕も覚えていますよ。僕達が名前も無かったくらいの稚魚の頃に、見た事がありますね」
「あの小魚、『アイツ』だと思う?」
「ええ、おそらく『彼』でしょう。……まさか生きていたとは、数年越しの大きな予想外ですね」
「ちょっと遊んでやろっか」
「ふふ。ええ、もちろん」

一方、事の一連を遠くから見ていたある二人組が、無くした玩具をみつけた様に目を光らせて、意地悪く笑いあった。

2021年12月17日 Pixivにて投稿

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