8、「小さいのにすごいね、あんた」

ツイステッドワンダーランド生き別れのウツボの人魚

「待たないかフロイド!今日という今日は許さないよ!」
「ここまでおいでぇ金魚ちゃ~ん!」
「ウギィィィィッ!!」

 長い授業が終わった昼休み、教室から出てきた生徒達で賑わい始めた廊下の一角で、二つの足音が慌ただしく駆け抜けていく。
分厚い本を持ってきゃらきゃらと無邪気に笑うフロイド・リーチを、顔を真っ赤にしたリドル・ローズハートが怒鳴りながら追いかけていた。

 事の発端はほんの数分前、一度寮に戻ろうとしていたリドルは、教科書やノート、課題のレポートに使う本を抱えて廊下を歩いていた。
そこでいきなり後ろからやって来たフロイドが、リドルにちょっかいをかけてきたのだ。
それにリドルが眉を吊り上げて抗議をすると、フロイドは更に面白がって彼の本を取り上げて走りだしたので、それを取り返す為に走ってフロイドの事を追いかけていた。
リドルが全力疾走で必死に走っていても、フロイドは鬼ごっこで遊んでいるみたいに、長い足で余裕を持って走っている。
それが余計にリドルの神経を逆なでさせた。

「本を返せフロイド!」
「そんなカリカリすんなって金魚ちゃん、そんなんじゃ血管切れちゃうよ~」
「もう我慢できない!首をはねてやる!」

とうとう堪忍袋の緒が切れたリドルは、胸ポケットからマジカルペンを抜いて、前を走っているフロイドに向けた。

「首をはねろ!(オフ・ウィズ・ユア・ヘッド)」
「あはっ、そんなのオレに当たる訳ないじゃん」

リドルの魔法は真っすぐフロイドに向かって飛んでいったが、それに気づかない彼ではない。
ニィと口の端を更に吊り上げて、すぐに自分のマジカルペンを構えた。

「巻きつく尾(バインド・ザ・ハート)!」
「あっ!?」

 リドルが放った魔法は、フロイドの魔法で弾かれてあらぬ方向へ飛んで行ってしまい、遠くで歩いていたフードを被った全く関係ない生徒に当たってしまった。

「しまった!」
「あ~あ、金魚ちゃんなにやってんの~?」
「キミが弾いたからだろう!早く解除しに行かないと」

フロイドの間延びした声に噛みつくように怒鳴ったリドルは、誤って自分がかけてしまった魔法を解く為に、首輪を付けられてその場に立ち止まった誰かの元へ駆け出した。

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