数日後、再び美術の授業で課題が出された。
内容は「次の授業までに植物園にあるものをスケッチすること」。
特に植物や建造物などの指定はなく、植物園にあるものならなんでもいいらしい。
部活動のない放課後、授業が終わったスレイドは授業のスケッチブックと色鉛筆を抱えて、植物園でスケッチするものを探して園内でうろうろしていた。
「やあ、ムシュー・深淵」
「あ、狩人さん。こんにちは」
独特の呼び方に振り向くと、笑顔のルークが実験服の姿で立っていた。
「今日の美術の授業の課題かい?」
「うん、狩人さんも何かの課題?」
「ウィ。サイエンス部の活動で薬草を採取しに来たのさ」
「そうなんだ。……あれ」
スレイドが何となしにルークの背後のに目をやると、片目に傷痕がある褐色肌のサバナクローの生徒が、仰向けになって足を組んで眠っていた。
「私の後ろに何か気になる者でもいたかな?」
「あの人は?この前もあそこにいた気がするけど」
以前昼休みに魔法薬学の授業に使う植物を取りに行った時にも、同じ場所で同じ様に眠っていたので印象に残っていたのだ。
ルークが振り返ってスレイドが指さした人物を見ると、彼は眠っている人物を知っていたらしく「ああ」と声をあげた。
「ああ、獅子の君(ロア・ドゥ・レオン)だね」
「獅子の君……ライオン?」
「ウィ。誇り高い不屈の精神に基づいた、サバナクロー寮の寮長さ」
「……ふうん。確かにこんなに人が出入りしてる所で堂々と寝られるなら、襲われても返り討ちにできる自信がある程強いのかな」
「ふふ。……彼に興味があるのかい?」
「うーん……どうなんだろ。でも、下手に手を出していい相手じゃ無いと思う」
レオナを見て、スレイドの目が一瞬光ったのを見逃さなかったルークが目を細めて微笑むと、サングラスの下はいつもの読めない凪いだ目に戻っていた。

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