「ふう……中々の量を描けましたね。我ながら中々の力作達です」
一方、モストロラウンジに設置してある監視カメラの映像を見る事ができる、オクタヴィネルの一角にある簡易的なモニター室。
副寮長権限でその部屋に潜り込んだジェイドは、長時間の作業をやり切った達成感に、満足げな息を吐いて自分が描いた作品達を見下ろした。
それを一頻り眺めてから、モニターに映っているアズールやフロイドを含めた寮生達の様子を見て、ジェイドは意地悪な笑みを浮かべた。
「ふふ、アズールもフロイドも慌てていますね。……ブフッ!っ、くく……ああっ!慌てるあまりにアズールの視野が狭くなって、ラウンジのソファに脛をぶつけている!」
モニターの向こうで脛を押さえて悶絶しているアズールを見て、ジェイドは部屋に誰もいないのをいい事に、思い切り吹き出した。
「さてと次はそろそろ他の寮の誰かでも……おや?」
更なる被害を広げようと、ジェイドがスケッチブックに鉛筆を近づけようとすると、彼の鉛筆を持つ手に宙を泳ぐ半透明の赤い魚がゆっくり泳いできた。
どこからやって来たのか分からないが、その魚はジェイドに何かをする訳でも無く、彼の顔の前でクルクル回っている。
よく見ればどこか見覚えのあるヒレの形に、ジェイドは「あ」と声を漏らした。
「確かこの魚はバイトさんの……」
「みぃ つ け た」
ジェイドが「見つかった」と思った瞬間に、目の前の赤い魚は瞬時に自分の落書きと全く同じスレイドの顔に変わった。
驚く間もなく自分の首に手を伸ばされたと思ったと同時に、ジェイドの視界は真っ暗になった。

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