月の下で共にワルツを

サブマス一話完結小説

「シャンデラ、あなたとわたくしのマジコスが出来上がりましたよ!」

 いろんな地方からあらゆるポケモントレーナーがやって来る、夜の人工島パシオ。
そんなトレーナー達が生活をする場所の一角にある個室で、イッシュ地方からやって来たバトル施設の強者である黒のサブウェイマスター・ノボリは、帰って来るや否や、バディポケモンのシャンデラに腕に抱えている白い大きな箱を見せた。
 マジコスはトレーナーのさらなる可能性を引き出すべく特注した特別な衣装だ。
今回タッグバトルの大会を開くノボリとクダリの為に、バディポケモンであるシャンデラをイメージし、パシオの現地デザイナーが特注で作ってくれたのだ。
窓から夜空を見ていたシャンデラは、テンションが上がって目をキラキラさせているノボリの声に反応して振り返り、部屋の端にあるベッドの上に箱を置いた彼の背中に回って、箱の中身を一緒に見ようとした。

「おお……ブラボー……」

 箱を開けると、中に入っていた衣装の一番上には、翼が生えている様に見える、銀色に輝くギアステーションのマークがついた、黒いウエストポイント帽。 
それを手に取って箱から出してよく見てみると、帽子の縁が部屋の照明を軟らかく反射していた。
ノボリが感嘆の声を漏らすと、後ろから見ていたシャンデラも目を輝かせて興奮気味の声をあげた。
 
「そうですね、早速着てみましょう」
 
シャンデラが背中を小突いて急かすので、ノボリは他の衣装も箱から取り出した。


数分後。
 
「お待たせしました」

 着替え終えたノボリは、姿見で一度自分の全身を確認してから、マジコスをシャンデラに披露した。
左右非対称の襟と、紫のフリルが覗く裾が特徴的な、細身の彼にサイズぴったりな黒いジャケット。
シャンデラの炎を連想させる、青から紫のグラデーションになっているクラバットが胸元を飾り、腰には青いベルトを飾る様に小さなランタンが提げられている。
そしてジャケットの裾から広がる、ゆったりと波打つ布の間からスラリと伸びる細い足は、左足が黒一色で右足が白地に細い黒の線が入ったストライプ柄の、ピタリとした生地のスキニーに包まれている。
最後に履いているブーツのデザインは、制服の時のいつもの革靴と似ているが、つま先が少し尖っていていつもと違いを見せていた。

「シャンデラ、どうでしょうか?」

 ノボリが感想を聞くと、シャンデラは嬉しそうな声を出して、ノボリの周りをクルクル回って見せた。
自分をイメージして作られた衣装がノボリにとても似合っていて、それがすごく嬉しかったのだ。

「気に入ってくれたみたいですね。明日からのタッグバトルの大会は、この衣装を着て参加します。一体どのようなトレーナー達が参加してくださるのか……ああ、想像するだけ今から心が躍ります」
 
まだ見ぬトレーナー達に思いを馳せて、胸に手を当てて目を閉じるノボリは、大会がまだ始まっていないにも関わらず、とても楽しそうに見えた。
 
「明日から二両編成で共に頑張りましょうね、シャンデラ」

片割れや手持ちである自分達以外の人には気づかれにくい、少しだけ目を細くしたノボリの笑顔を見て、シャンデラも元気な声で応えてみせた。

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