月の下で共にワルツを

サブマス一話完結小説

「ノボリお待たせ!一緒に帰ろ……あっ」

 点検を全て終わらせて、駆け足で洞窟から出てきたクダリは、待っているはずのノボリに声を掛けようとしたが、ふたりの様子を見て立ち止まった。
ノボリはシャンデラのリードで、一緒にダンスをしていた。
シャンデラが片手を上げると、ノボリは片手をシャンデラと繋いだまま、その場で器用にクルリとターンをした。
昔はただ手を取り合ってクルクル回るだけだったが、シャンデラのダンスのリードがどんどん上手くなって、回数を重ねる毎に見栄えのあるものになっている。
 ふたりが一緒にステップを踏んで大きくターンをする度に、ノボリのジャケットから伸びる紫の布がフワリと広がって、その様子がまるでドレスの様。
シャンデラを見つめるノボリの目はうっとりとしていて、まるで王子様に見惚れているお姫様だ。
そして同時にシャンデラの炎が大きく広がって、ふたりの周りに紫の残火が散る。
それが踊っているふたりをより美しく演出しているようにも、ふたりを自分達だけの世界に閉じ込めているようにも見えた。

 ふたりのダンスを少し遠くから目を細めて見つめていたクダリは、背中をつつかれる感覚に振り向くと、彼のバディのシビルドンが自分を見上げていた。
不思議そうな顔をしているので、おそらく「帰らないの?」と思っているのだろう。
クダリはそんなシビルドンを見て小さく笑い声を漏らすと、少しだけ屈んで彼を抱き寄せた。
  
「今のシャンデラ、ノボリの王子様。だからちょっとだけ待ってようか」

途中で声を掛けてダンスを中断されたら、シャンデラは不機嫌になってしばらくクダリと口をきかなくなってしまうので、クダリはシビルドンと一緒に彼らのダンスをしばらく眺めている事にした。

2024年12月5日 Pixivにて投稿

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