それは分身としてこの世界に生まれ落ちた。
本体はすべてのポケモンと出会い、その世界の人々やポケモンと多くの繋がりを持つ少女に、分身を託した。
分身は少女の隣でポケモンを知り、人を知り、世界を知った。
彼女が見せてくれた世界はとても広く、新鮮で、美しかった。
そんなある時、少女が一人で泣いている姿を見た。
どうしたのか尋ねると、少女は泣きながら自分の過去について話してくれた。
少女はこの世界の人間ではなかった。
本体の力によって、この世界に呼ばれた人間だった。
元の世界の記憶は朧げにしか持っていなかったが、少女は涙ながらに元の世界へ帰りたいと訴えた。
話を聞いた分身は、自分に広い世界を見せてくれた彼女の望みを叶えてあげたかった。
しかし分身である自分には、彼女を元の世界へ送り届ける程の力は持っていなかった。
だから作った。
彼女が持っていた、本体を呼ぶ為に使っていた笛を。
そして一縷の望みを賭けて、彼女の脳裏に僅かに残っていた情報から見つけた、彼女が生まれ育った元の世界へ送った。
元の世界で彼女を本気で探している誰かが、いつか本体の元に辿り着き、彼女をこの世界から連れ戻せるように。

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