二、厚藤四郎の本丸捜索

刀剣乱舞合歓木本丸小説

「おお、厚殿。今日は畑当番であったか、精が出るのである」
「いや、隊長を探してた途中で、畑当番の鶴丸さん達の野菜運びを手伝ってたんだ。二振りは隊長見てないか?」

 大きな物干し竿では、山伏国広と堀川国広が洗濯物を干していた。
先に気づいた山伏が厚に声を掛けて、それに気づいた堀川も、洗濯物の間から顔を出した。
気心の知れた兄弟刀である二振りなら、知っているかもしれないと厚が尋ねると、二振りは互いに顔を見合わせた。

「僕も探しているんだけど、兄弟ったら帰って来てから見つからないんだ。そろそろあの布を洗濯したいんだけどね」
「拙僧も今日は兄弟の姿は見ておらぬな、出陣から帰ってきて、またどこかで寝ているのやもしれぬな、カッカッカ!」

堀川は頬を掻きながら眉をㇵの字にして、山伏は腰に手を当てて豪快に笑った。

「うーん……どこ行っちまったんだろうな」
「部屋にいないなら、日当たりがいい所かもしれないね。兄弟、日向ぼっこしながら昼寝するのが好きだから」

厚が困ったように眉をㇵの字にすると、堀川が厚に助言をした。

「日向か……分かった、探してみるよ。ありがとな」
「もし見つけたら、兄弟に布を持ってくるように伝えてくれるかな?」
「ああ、伝えておくよ」

厚が手を振って二振りに別れを告げると、日当たりがいい場所はどこだったか思い出しながら、厨に野菜を運ぶ事にした。

「あ、厚君野菜ありがとう。どうだった?まんば君見つかったかい?」

 厚が野菜の籠を厨に持っていくと、既に野菜を運び終わって、野菜についている土を落とす為に、野菜を洗っていた燭台切がそれを受け取った。
同じく既に野菜を運び終えていた鶴丸は、テーブルで麦茶を飲んで、一休みをしていた。

「見つかんなかったよ、一体どこに行っちまったんだろうな」
「どうかしたのかい?」

夕餉の下ごしらえに一段落ついた、歌仙兼定が手を拭きながら、厚達の元に近づいた。

「ああ、厚が総隊長殿を探しているらしいんだが、これがまた見つからないらしいんだ。歌仙は何かしらないか?」

鶴丸が肩越しに振り向いて尋ねると、歌仙は考えるように顎に手を当てた。

「隊長か……彼が出陣から帰って、倉庫の方に歩いていくのを見てからは、分からないな」
「倉庫の方?」
「てっきり、拾った資源を直しに行ったのかと思っていたんだけどね」
「なるほどな、ちょっとそっちの方行ってみるよ」

初めて目撃情報らしい話を聞いて、それなりに的を絞る事ができたと、厚は僅かに落ちていた気分が上向いた。

「お、じゃあ俺も行っていいか?ここまで来ると、俺も知りたくなってきた」
「僕も探すよ」
「いいのか?じゃあ頼むよ」

面白そうに立ち上がった鶴丸と、親切心で同行してくれる燭台切を連れて、厚は歌仙に礼を言って厨から離れた。

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