「お、伽羅坊じゃないか!」
倉庫へ向かう道で、比較的日当たりのいい縁側付近を中心に歩いていると、大倶利伽羅が柱に凭れて座っていた。
その膝の上には、どこからか迷いこんだ猫が、丸くなって気持ちよさそうに眠っている。
当の本人は声を掛けた鶴丸を見て、「面倒くさい奴に会った」とでも言いたげに、眉間に皺を寄せた。
「何の用だ……」
「いや、特に用はないんだけどさ。隊長見てないか?」
「ここにしばらくいるが、見ていない」
厚が尋ねると、大倶利伽羅は簡潔に答えた。
歌仙の話が本当なら、この辺りを通っている筈だが、一体どこへ行ったのだろう。
厚は頭を掻きながら、彼がいないか辺りを見渡した。
「そうだ伽羅坊、総隊長殿はどこにいると思う?」
突然鶴丸が大倶利伽羅の隣にドカリと座った。
その顔は、面白い事を考えた子供の様にいきいきとしている。
「知らん」
「まあまあそう言わずに、見事に当てたら今日のおやつ、俺の分もやろう」
「……」
鶴丸の言葉を聞いて、大倶利伽羅は僅かに反応した。
こう見えても彼は甘い物が好きだ。
慣れ合わないと言いながらも、手伝った礼として少し多めに貰えるおやつを目当てに、たまに厨を手伝う姿も目撃されている。
そんな彼は鶴丸の賭けに乗ったのか、国広が寝ているであろう場所を、考える時間も掛けずに予想した。
「……屋根の上だ」
「なるほど、面白い所を選んだな」
「伽羅ちゃん、さすがに屋根はないんじゃないかな」
「お?じゃあ光坊はどこだと思う?」
屋根の上といった、大倶利伽羅の予想に難色を示した燭台切に、鶴丸が同じように尋ねると、燭台切は「う~ん…」と顎に手を当てて、考える素振りを見せた。
「倉庫の中で寝落ち……かな」
「う~ん、光坊は普通だな」
「じゃあ、鶴さんはどこだと思っているんだい?」
「俺か?俺は縁側から転げ落ちて、地面でそのまま寝ていると思うな」
「隊長なら全部ありえそうだな……」
伊達の刀達の、通常なら考えられないような場所の予想に、厚は苦笑した。

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