フロイド・リーチの体調不良24時

ツイステッドワンダーランドツイステ一話完結小説

「失礼します」

 モストロ・ラウンジの営業が終了し、締め作業と書類仕事を終わらせたアズールがジェイド達の部屋に入って来た。
フロイドのベッドの側の椅子に座っていたジェイドは、アズールの来訪に気づくと、読んでいた本を閉じて顔を上げた。

「お疲れ様です」
「フロイドの具合はどうですか」

 アズールはベッドに横たわる幼馴染を見下ろした。
フロイドは布団の中に横向きにくるまって、頭頂部しか見えない程に小さくなっている。
少しだけ立ち位置を変えると彼の顔が僅かに見えたが、きつく目を瞑って浅い息を繰り返していた。

「フロイドはずっとこの調子なのですか」
「はい。下痢はようやく収まったのですが、腹痛が酷くて眠れないみたいです。腹痛の薬をフロイドに飲ませたのですが、余り効いていないようで。保険医の先生に伝えたら、今日は学園にいて貰えるそうなので、容体が変われば連絡する事になっています」
「ずっとこの状態はきついな……明日になっても症状が治まらなければ、病院へ連れて行かないといけないかもしれませんね。……フロイド」
「ハア……ハッ……ア、ズール?」

布団ごしにフロイドの肩に触れると、彼は目を開けてアズールを見上げた。

「震えているな……寒いのですか?」
「……ぅう゛…さむい」
「寒気がしているのか……もしかしたらこれから熱が出るかもしれないな。何か欲しいものはありますか?」
「んーん。……なんもない」
「分かりました。とはいえ水分は摂った方がいい、何か温かい物でも持ってきましょう」
「あは……今日のアズール、やさしー…」

ぐったりとしながらも、フロイドはへらりと力なく笑った。

「僕はいつでも慈悲深いんです。必ず良くなるから、今は治す事に集中していなさい」
「うっ……はぁい……」

 再び腹痛の波が来たフロイドは、また布団に潜り込んでそのまま動かなくなった。
アズールはジェイドの方に顔を向けると、彼は椅子に座ったまま、いつもとはかけ離れた沈鬱な表情で、フロイドを黙って見つめていた。
先程まで彼が読んでいた膝の上に置いてある本は、数日前に栞が挟んであった場所からちっとも進んでいない。
おそらく読んでいても内容が入ってこなかったのだろう。
体調を崩しているフロイドを目の当たりにして、かなり精神的に参っているようだった。

「なんて顔をしているんですか。フロイドが元気になった時に笑われますよ」
「…………」

アズールがジェイドの肩に手を置くと、彼は迷子の様な顔でアズールを見上げた。

「食事を持ってきます。お前も何か食べたほうがいい」
「……アズール。……ありがとうございます」

幼馴染の厚意に、ジェイドは弱々しく微笑んだ。

 それからアズールが持ってきた少し遅い夕食を、フロイドの部屋で三人で食べた。
フロイドには胃の刺激が少ないスープを用意したが半分程しか食べられず、腹痛で苦しんだ疲労によって、そのまま力尽きる様に眠りについた。
その頃には微熱が出始めていたので、ジェイドはタオルを水で冷やしてはフロイドの額の上に乗せ、タオルが乾いたらまた水で冷やすのを繰り返した。
アズールも可能な限り彼等の部屋にいたが、消灯時間が近づくと自分の部屋に帰っていった。

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