リドル・ローズハートによる「対フロイドあだ名防止作戦」

ツイステッドワンダーランドツイステ一話完結小説

 本日全ての授業が終わったばかりの放課後の学園。
ハーツラビュル寮寮長であるリドル・ローズハートは、馬術部の活動で運動着に着替える為に部室へ向かっていた。
部活が始まる十分前には用意を済ませておくように動いているので、予定の時間までまだ余裕がある。
部室で課題の内容に軽く目を通しておこうと考えていると、後ろから大きな影が駆け寄ってきた。
 
「金魚ちゃ~ん、なにしてんの?」
「げっ、フロイド」

 後ろからやって来たのは、リドルを「金魚ちゃん」と不思議なあだ名で呼んでは絡んでくるウツボの人魚、フロイド・リーチだった。
自分の天敵とも言える同級生の襲来に、リドルは分かりやすく眉を歪めた。 
 
「フロイド、ボクを変なあだ名で呼ぶなと何度言わせるんだい!」
「え~?いいじゃん、金魚ちゃんは金魚ちゃんなんだから」
「なっ、髪をグシャグシャにするなフロイド!」

ニコニコ笑顔で髪をグシャグシャにかき回してくるフロイドの手を、リドルは目を吊り上げて払い除けた。

「ボクにはちゃんと名前があるんだ、そのふざけた呼び方は止めないか!」
「別にいいじゃん、金魚ちゃんしつこ〜い」

 まったく聞く耳を持たないフロイドに、リドルは怒りを露わにしそうになったが、すんでの所で思いとどまった。
今激昂してはフロイドが更に面白がってからかってくるに違いない、リドルは両手の拳を握りしめ奥歯を噛み締めながら、フロイドに怒鳴りつけるのをグッと我慢した。
かと言ってこのままフロイドを無視しても追い払おうとしても、彼が自分から離れてくれる望みは薄いし、ただ逃げるだけというのは自分が負けを認めたみたいで嫌だ。
一体どうすればと優秀な頭を働かせていると、一つだけあるアイデアが浮かんだ。
この場から離脱しつつ、これからフロイドに自分の名前を呼ばせるための作戦が。

「……そうかい。改めるつもりがないのなら、ボクにだって考えがある」
「へえ?オレに何してくれんの?」

低い声で下からフロイドを睨み上げるリドルに、フロイドはこれから始まる面白そうな何かの予感に、垂れ目を更に細めてコテンと首を傾げた。
 
「今にボクの事をちゃんと名前で呼ばせてやるから、首を洗って待っておいで!」

そう言って眉を吊り上げたリドルは、ビシリとフロイドに人差し指を突きつけると、くるりと踵を返してやや早いテンポの靴音を立てながら部室へと歩いていった。
かくして、リドルはフロイドから離れる事に成功したのである。

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