リドル・ローズハートによる「対フロイドあだ名防止作戦」

ツイステッドワンダーランドツイステ一話完結小説

 翌日、フロイドはワクワクしながらリドルを探していた。
昨日リドルが自分に彼の名前を呼ばせる為に「首を洗って待っていろ」と言ったからだ。
フロイド自身はリドルの「金魚ちゃん」呼びを改めるつもりは毛頭ないが、リドルが自分に名前を呼ばせようと策を講じて来るその時点で既に面白い。
「首を洗って」と言われたので、夜に風呂でちゃんと身体を洗ってから、寮のベッドでぐっすり寝て起きて、あの小さくて真っ赤な金魚の様な同級生は、どうやって自分に名前を呼ばせて来るのだろうと楽しみに思いながら、いつもより早い朝の廊下を歩いていた。 
 
真面目なリドルは必ず時間に余裕を持って登校するので、フロイドは少し背伸びして遠くを見渡すと、予想通りに十数メートル離れた教室の近くの廊下を進む、真っ赤な後頭部を見つけた。
 
「あ~いたぁ。金魚ちゃ~ん!」

目的の人物を見つけて、フロイドは早速彼に駆け寄った。 
  
「なんだい、フロート」

振り返ったリドルは、「フロイド」と似た響きの言葉で彼の事を呼んだ。
 
「……は?」
「キミの事だよ、フィヨルド」

 全然違う単語で自分の事を呼ばれて、フロイドは次に言おうと思っていたからかいの言葉を忘れて、目を丸くしてポカンとした。
最初は自分の聞き間違えかと思ったが、リドルはいつもと同じツンとした表情で、自分の名前と似た響きの別の単語でまたフロイドの事を呼んだ。

「え、なに?」 
「キミがボクの名前をちゃんと呼ぶまで、ボクもキミの名前をちゃんと呼ばない事にしたんだ」
「は?」
「用が無いなら、ボクはもう行くよ」 

予想外の変化球に処理できず、ポカンとしているフロイドにリドルはそう告げて、突っ立っている彼を置いて再び教室へ向かって歩き始めた。

「フロイド、フロート……フロイド、フィヨルド。……あはっ」
 
フロイドは自分の名前とさっきリドルから言われた言葉を何度か反芻すると、火に掛けられた鍋の水が沸々と温度を上げていく様に、だんだん面白くなってきた。
  
「金魚ちゃん!まって~!」
「うわっ、追いかけて来るなフロット!!」
 
他にどんな「フロイド」そっくりの言葉で自分の事を呼べるのか、面白がったフロイドは走ってリドルの事を追いかけた。 

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