リドル・ローズハートによる「対フロイドあだ名防止作戦」

ツイステッドワンダーランドツイステ一話完結小説

「シェード、ラード、……えーっと、ジェット」

 消灯時間が近いオクタヴィネル寮の自室、ジェイドは趣味のテラリウムで器の中に入れる石を何処に配置しようかと考えていると、背後から眠たげな声で紡がれる単語がいくつか聞こえてきた。
 
「僕の名前で言葉遊びですか?フロイド」

テラリウムを作る手を止めてジェイドが声の方に顔を向けると、ベッドに寝転がったフロイドが枕を抱きしめながらジェイドを見上げていた。
 
「金魚ちゃんみたいに、ジェイドと似てる言葉探してみたら意外に出てこねぇなって思ってさ」
「確かに、咄嗟に名前と響きが似ている言葉を思いつくのは案外難しいですね。リドルさんなら……ミドルさん、リトルさん、とかでしょうか」
「あはっ。リトル(小さい)なんて言ったら、金魚ちゃんもっと真っ赤になっちゃうかもね」
「ふふ、そうかもしれませんね」

ジェイドがリドルと似た響きの言葉を並べると、フロイドはケラケラと笑ってベッドの上を転がった。
 
「そういえば、先日たまたまリドルさんから聞いたのですが。リドルさん、フロイドに似た言葉を探す為に百科事典で調べたり、寮生の人に聞いて回っていたそうですよ」
「えっ、それマジで?」
「はい」

フロイドは目を丸くして枕を抱きしめたまま起き上がると、次の瞬間に爆発した様に大声で笑い始めた。
 
「あっははは!!なにそれ、ちょーウケんだけど!あ~腹いてぇ~」

枕をバシバシ叩いて一頻り笑うと、フロイドは笑いすぎてひーひーと息を整えながら目尻に滲んだ涙を拭った。

「んふふ、オレに自分の名前呼ばせようとして、わざわざ調べてあんなにいっぱいオレそっくりな言葉探してくるなんて、金魚ちゃんってやっぱおもしれーよね」

「あ~!金魚ちゃんだあ!」
「フロイド、昨日ちゃんとボクの事は名前で呼ぶって言ったじゃないか!」
「え~?『あの時』ちゃんと名前呼んだじゃん。それに、オレ『これからずっと』とは言ってねえし、金魚ちゃんも言ってねえじゃん」
「うぐっ……」
「金魚ちゃん、約束する時はちゃんと細かい所まで考えてねえとダメだよ~?」
「うぎいぃぃぃ!!」

翌日学園では、いつも通り「金魚ちゃん」と呼ぶフロイドを、あだ名通り顔を真っ赤にして追いかけるリドルの姿が見られた。

2022年8月14日 Pixivにて投稿

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