5、「あんたオス?メス?」

ツイステッドワンダーランド生き別れのウツボの人魚

「来たか。すぐに片付けるから、二人共少しそこの部屋で待っていなさい」

 放課後、授業が終わった二人はすぐに職員室を訪ねた。
奥の方に見覚えのある背中を見つけて声を掛けると、本日最後の授業を終えたトレインが、自分のデスクに抱えていた本や紙の束を置いている所だった。
トレインは二人を隣の小さな別室にある椅子に座って待つように指示すると、簡単にデスクに置いた物を片付けてから、すぐに二人の元へ戻った。

「待たせたな、スレイド、クッキーカッター。単刀直入に聞くが、二人共ミドルスクールどころか、エレメンタリースクールすら行った事が無いと聞いているが、それは本当か?」
「ミドル?……エレメンタリー?……そういえば学校にも種類があるって爺さん言ってたっけ」
「オレ達の所に学校なんてある訳ねえしな、正直なんでこの学校に呼ばれたのかも分かんねえし」

唐突な質問に、スレイドとバイトは互いの顔を見合わせた。

「ではお前達の魔法の知識はどこで学んだんだ」
「爺さんに教えてもらった」
「オレも爺さんとこいつに教えてもらった。……何でそんな事聞くんだ?」

質問の意図が分からないバイトは、首を傾げてトレインに尋ねた。

「お前達の持つ知識の偏りが、あまりに大きいからだ」

 トレインは数日前二人の小テストの結果を見て、職員室で一人頭を抱えていた。
特にトレインが担当している魔法史の結果が悪く、グレートセブンの存在がギリギリ分かる位の知識しか身に着いていない。
授業態度にやる気が感じられない訳ではなく、二人共むしろ興味津々の様子で聞いているが、それが数字に全く反映されていない。
バイトに関しては文字の読み書きにも難があるので、以前授業が終わった後に、試しに教科書の読み上げをさせたら、複雑な単語が多い箇所は所々つっかえていた。
理系の教科を担当するクルーウェルからも、錬金術や魔法薬学の授業でも薬草どころか、植物も本に載っている絵の知識しかなく、実物を見た事が無かったので材料の細かい見分けができず、手こずっているという話も聞いている。
 全く勉強ができないと思えばそうでもなく、何故か特定の地理や逸話には詳しかったし、魔法解析学では二人共学生離れした回答を提示してくる。
先日防衛魔法の授業で行われた試合形式の試験では、学年でも上位に食い込む程の結果を修めていた。

「陸の出来事なんてほとんど聞いた事なかったし、そんな本はうちに無かったしね。爺さんが持っていた本はほとんど魔法について書かれた本ばかりだった」
「沈没船で拾える本も、航海日誌とか日記とかが多かったしな。後は歯が浮きそうな恋愛の本とか、子供向けの昔話、ほんのたまに図鑑とかも見つかるらしいけど、オレには意味がなかったからなあ」

彼らの知識の元になっている物を聞いて、成績の酷い偏りの原因を知ったトレインは痛くなってきた頭を押さえた。

「はあ……今のままでは授業を受けても、お前達が理解するのが難しい事がよく分かった。これから月、水、金曜日の放課後に一時間、私がお前達向けにエレメンタリースクールまでレベルを落とした特別補習を行う。二カ月以内で授業に追いつける事を目標にする、分かったな」
「分かった」
「用意するのはノートと、魔法史の教科書くらいか?」
「それで構わない。それとD組のスワロー・フリル、彼も同じ補習を受ける。早速明日の放課後、この教室で待機しておくように」

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