二、厚藤四郎の本丸捜索

刀剣乱舞合歓木本丸小説

「乱、隊長見てないか?」

乱藤四郎が出陣から帰って、机に置いた鏡の前で髪を整えていると、厚藤四郎が障子を開けて部屋に入ってきた。

「隊長さん?そう言えば出陣から帰ってきて、解散してから見てないよ」
「まいったなー、隊長に今日の夕方から出る部隊の編成で、聞きたい事があったんだけど」

目当ての相手がいなかった厚は、困ったように頭を掻いた。

「厚兄さん、お部屋にはいらっしゃらなかったのですか?」

同じく出陣から帰って、部屋でくつろいでいた前田藤四郎が尋ねると、厚は「あ~」とはっきりしない声を出した。

「それがさ、部屋にも広間にもいなかったんだよ。今大将が昼寝しているから、執務室も無いだろうし……まあ、他探してみるか。ありがとな」

他を探す事にした厚は、二振りに礼を言って、その場を去った。


 山姥切国広は、この本丸で最初に顕現した刀だ。
その為に、審神者の影響を最も強く受けている為、審神者同様、非常に良く寝る体質だった。
三度の飯より睡眠、出陣や内番以外は寝ているんじゃないかと言うくらい、良く寝る。

 昨日は自室で寝ていたが、それは珍しい事だった。
大体は自室以外の、それも一番付き合いの長い初鍛刀の厚でも分からない、予想外の場所で寝ているのだ。
更に言うならどこでも寝る事ができるので、屋根や木の上、挙句の果ては日光に温められた畑の近くの土が、ふかふかしてると言った理由で、そのまま地面で寝てしまう事もあった。
その時は、いなくなった虎を探していた五虎退が、偶然彼を見つけて、倒れていると勘違いをした為、半泣きで審神者の部屋に駆け込んで、厚や長谷部に叱られていた。

その為、仮に彼がどこかで寝てしまっている場合、どこで寝ているのかが非常に読みづらい。
考えても始まらないし、とりあえず外から探してみるかと、厚は靴を履いて外へ出た。

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