5、「あんたオス?メス?」

ツイステッドワンダーランド生き別れのウツボの人魚

 小鳥のさえずりが窓の外から聞こえてくる朝、1年E組のクラスでは朝のホームルームが行われていた。
担任のモーゼス・トレインからの連絡事項などの説明をぼんやりと聞きながら、スレイドはこみ上げてくる欠伸を噛み殺していた。
光がほぼ差さない深海では昼も夜も曖昧で、睡眠は眠い時に適当にとっていたが、陸に上がって学園に通うとなるとそうはいかない。
朝は起きて勉学に励み、夜は眠る。
陸では当たり前の事でも深海で育ったスレイドには馴染みが無くて、最近ようやく生活リズムが整ってきたのだ。
隣に座っているバイトもまだ眠いらしく、時々目を擦りながら眠気と戦っていた。

「……これで連絡事項は以上だ。それとスレイド、クッキーカッター、二人は今日の授業が終わり次第私の所に来るように」
「えっ」
「ん?」
「返事は」
「あ……はい」
「はい」

いきなり名前を呼ばれた二人は、言葉が理解できないまま頷き、そのままトレインが教室から出ていく後ろ姿を眺めた。
先生が居なくなってクラスメイト達が一気にざわつき始めてから、二人はようやく互いの顔を見合わせた。

「……何だろう」
「オレ達なんかしたか?」
「まだ何もしてない筈だけど」
「何かする前提なのかよ。今呼ばれるって事は……この前の小テストの結果が悪かったからか?」
「それはあるかも」
「マジかぁ……」

 先日、今の成績を計る為の小テストがあった。
しかし、学校に行った事が無いスレイド達には授業についていくのも難しく、二人で協力して何とかテスト範囲の教科書の文章を覚えて挑んだが、赤点こそギリギリ免れたものの散々な結果だった。
文字がまだちゃんと読めないバイトに関しては、スレイドに教科書を音読してもらって内容はそれなりに頭に入っていたが、テストの問題文を読むのに時間がかかり、結局答案用紙の半分も埋められらかった。
その事を思い出したバイトは苦い表情を浮かべて項垂れた。

「放課後だったら、先生は職員室かな」
「だろうな。授業が終わったら行ってみようぜ」

少しだけ憂鬱に思いながら、二人は最初の授業の教科書を鞄から取り出した。

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