10、「空からプランクトンの死骸が降ってきてるの!」

ツイステッドワンダーランド生き別れのウツボの人魚

「……え?……全部真っ白だ」
 
  ウィンターホリデー直前の休日、学園を散歩しようと鏡舎から出たスレイドは、目を丸くしてその場に立ち尽くした。
昨日までただの石畳の道が、全て見た事も無い「真っ白な何か」に染まっていたのだ。
たった一夜で何が起こったのか分からないまま、スレイドは地面を覆っている真っ白な何かに向かって足を出した。
 恐る恐る靴のつま先でそれを突っいてみると、靴の形にへこんで元に戻る様子はない。
今度は靴底全体でつま先で突っついた場所の隣を思い切り踏んでみると、白色は靴の形にずっぽりとへこみ、へこんだ場所を再度つついてみるとさっきの軽い感触とは逆に、固い壁でもつついているような感触に変化していた。
白が無い場所までさがって靴を脱いで足を触ってみても、多少ひんやりしているが異常は見当たらないので、スレイドは特に害は無い物なのだと結論付けた。
 
「……よし」

 スレイドはフードを深く被りなおすと、意を決して白く染まった道を少しだけ歩いてみる事にした。
眠気も吹き飛ぶ程冷たく、生き物の気配が遠く感じる冬の空気は、ほんの少しだけ自分がいた海と近いような気がして、スレイドは最近特に冷え込む早朝や夜に外を出歩くのが気に入っていた。
靴で踏みしめた白はギュッギュと音を立てて、スレイドが歩く度に靴の跡を残していく。
それを不思議に思いながら、スレイドは二、三歩歩いては自分の足元を見下ろすのを繰り返した。


 
「あれ?」

 しばらく歩いていると、ふと視界を横切った「何か」にスレイドは足を止めた。
スレイドは正体が何か確認しようとしたが、上から降って来た「何か」は、彼が確認する前に足元の白に吸い込まれて見えなくなってしまった。
どこから降ってきたのだろうかとスレイドが空を見上げると、その「何か」は空から無数に舞い落ちていた。
  
「……なんで、ここ海じゃないのに」

スレイドは慌てて鏡舎へ戻って自分の寮の鏡へ飛び込むと、己の幼馴染がいる自室へ走った。

「バイト!」  
「うわっ!?おいスレイド、もっと静かにドア開けろよ。びっくりするじゃねえか」

大きな音を立てて部屋に入って来たスレイドに、ベッドでくつろいでいたバイトは驚いて跳ね起きると、眉を吊り上げた。
 
「バイト、一緒に外来て早く!」
「わっ、なんだよ急に引っ張んな!」

腕をグイグイ引っ張って外に連れ出そうとするスレイドに、バイトは慌てて伸びそうになっている服を引っ張り返した。

「っだああ!!話聞くから一旦落ち着け!」
「落ち着いてられないって、外の道が全部真っ白になってて、空からプランクトンの死骸が降ってきてるの!」
「…………はあ?」
 
幼馴染の言っている事が何一つ理解できず、バイトは間の抜けた声を上げた。

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