四、同田貫正国は機嫌が悪い

刀剣乱舞合歓木本丸小説

「あ?俺が第一部隊?」

 翌日の昼餉前に、戦装束で執務室に来るように呼び出された同田貫は、審神者にそう告げられ、同田貫は間の抜けた声を上げた。
審神者は「ああ」と返事を返して、作業が一段落したパソコンを閉じた。

「今日は新月だろ?三日月が起きられないから、いつも代わりに鶴丸に出てもらってるんだけど、困った事に朝から鶴丸が体調を崩しているらしくてな。鶴丸の代理で悪いが、今から第一部隊に出て欲しい」
「それはいいけどよ。俺と第一部隊の連中とは、練度が離れすぎている。加州とかじゃなくてもいいのかよ?」

本丸の最前線での第一部隊で戦えるのは嬉しいが、第一部隊の連中と、自分との練度の差を考えない同田貫ではなかった。
同田貫が尋ねると、審神者は「ああ、それは大丈夫だ」と言い切った。

「欲しい資材がいつもの戦場に無いらしくてな。今回はいつもの戦場より、少し難易度が低い戦場に出てもらう予定なんだ。第二部隊に行ってもらっている戦場よりは難易度は高いが、同田貫の練度でも十分戦える。他のメンバーもいるし、安心して暴れていい」
「わかった。真っ先に突っ込んでぶった斬ればいいんだよな?」
「そういう事だ、じゃあ昼餉の後に門の前に集合してくれ」
「ああ」

代理とはいえ、この本丸の最前線で戦う事が出来る。
その事に僅かに胸を躍らせてながら、同田貫は審神者の部屋から出ていった。

「……もう出てきていいぞ、鶴丸」
「上手くいったようだな」

 審神者が部屋の奥にある押入れを開けると、布団の間から鶴丸が這い出した。
体調不良と言う事になっている彼の顔色は、健康そのものだ。
鶴丸の体調不良は、審神者がついた嘘だった。
昨日の同田貫と加州のやり取りを聞いていた鶴丸と、会話は聞こえていなくとも、何か良くない空気を察した審神者が、口裏を合わせて、同田貫を国広と同じ部隊で戦わせようと企てたのだ。

「しかし、同田貫の練度は今の第一部隊の練度からは、かなり離れている。別に手合わせとか、演練とかでもよかったんだがなあ」
「ふふん」
「何だ?」

遠い目をして顎に手を当てる鶴丸に、審神者は不敵に笑った。

「同田貫には、ぜひ戦場であいつが戦っている姿を見てもらいたかったんだ」
「戦場でか?」
「ああ」

床であぐらをかいていた審神者は、体ごと鶴丸に向けて歯を見せて笑った。

「戦場でのまんばは強いからな」

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