十七、薬研藤四郎の手入れ部屋日記

刀剣乱舞合歓木本丸

 昼餉が終わり、短刀達が大広間で昼寝をし始める頃、ゲート前では新たな戦場へ向かう部隊の刀達と、先程目を覚ました審神者が立っていた。
審神者の目の前にはこれから出陣する部隊、隊長の山姥切国広、隊員のへし切長谷部、三日月宗近、鯰尾藤四郎、鶴丸国永、燭台切光忠の六振りが立っていた。

「皆、用意していた刀装は持ったか?」
「ああ、ちゃんと持ってきているよ」
「はい、準備は万端です!」

燭台切と鯰尾が自分の刀装も持って審神者に見せた。

「自分の装束には不備はないな?紐が緩くなっているとかはないな?特に三日月」
「ああ、大丈夫だ。どこも不備はないぞ」
「そこは俺がちゃんと確認したから大丈夫だぜ」

過去に一度盛大にやらかして大変なことになった事がある三日月に目を向けると、三日月はその場でくるりと回って自分の戦装束に不備が無い事を見せ、隣にいる鶴丸からのお墨付きもあったので審神者はようやく頷いた。

「最後に皆、お守りは持ったか?一番大事だからもう一度互いに確認してくれ」
「ああ、ちゃんと持っている」
「ご安心を、肌身離さず持っています」

国広と長谷部が胸元に入れていたお守りを見せると、他の刀達も自分のお守りを審神者に見せた。

「よし。……今回の出陣は新しく解放された戦場だ!これまでの敵と比べて強力になっている。だが命令する事はただ一つ、全員無事に帰ってこい!!」
「「「「「「応!!」」」」」」

いつもより真剣味を帯びていつもの出陣前の命令をする審神者の表情に、六振りも再度気を引き締めて声を上げた。

「皆を頼んだぞ。まんば」
「ああ」

国広が部隊の皆を連れてゲートの向こうへ消えていくまで、審神者は彼らの後姿をずっと見つめていた。

「皆無事に行ったようだな」
「……ああ、そうだな」

ゲートが閉じられてもその場に突っ立っている審神者に、今日の近侍である薬研藤四郎が隣に歩み寄った。
見上げた審神者の横顔は険しく、緊迫した雰囲気を纏っていた。

「……大将?」
「薬研」

いつもの審神者らしくない表情に薬研がどうしたのか尋ねようとすると、審神者はそれを遮るように薬研に声を掛けた。

「救護当番の皆を呼んで、いつでも手入れ部屋を使えるようにしておいてくれないか」
「……ああそうだな、分かった」

いきなり手入れ部屋の用意を指示されて少し困惑したが、少し考えて審神者の意図が掴めた薬研は、表情を引き締めて頷いた。

「大将も霊力を温存しておいてくれよ」
「ああ、今日の鍛刀はやっぱり無しにするよ。じゃあ、頼んだぞ」

薬研の言葉に審神者も頷いて、戦いに向かった部隊の指揮をする為に執務室へ向かって行った。
審神者の背中が見えなくなると、薬研は救護当番の刀達が今どこにいるのか頭の中で思い返しながら、手入れ部屋へ向かった。

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