すっごい行方不明始める!
ヒスイから帰って来て元気な暴走列車をやってるノボリを見て、嬉しい反面「すごく心配してたんだけどな……」と、一歩下がった所でしょぼんとなったクダリが、思い切って行方不明になる話。
「じゃあみんな。ノボリの事、よろしくね」
「じゃあ、これからすっごい行方不明始める!アーケオス、出発進行!!」
自分達の手持ちにノボリの事を頼んで、アーケオスで空を飛んだ。
二人揃った休日にノボリが起きるとクダリがいない。
アーケオス以外ポケモン達も置いている。
テーブルに「ちょっと外に出てくるね」書き置きが置いてあるので、いつも通りに休日を過ごしていたら、夕方頃に慌てた状態のアーケオスが帰って来る。
「アーケオス!?クダリはどうしたのです!」
夜になってもクダリだけが帰って来ない。
アーケオスに頼んでクダリと別れた場所に連れて行ってもらうと、ヒウンシティの船の乗り場に着く。
乗り場で働く人に聞いても、分からないと言われる。
翌日警察にもクダリが帰って来ないと訴えるも、書置きがあるので家出なのではないかと、ほとんど相手にされない。
仕事の合間の時間を全て使って色んな所で聞き込みをするも、成果なし。
次第にかつての自分のように、違う世界に飛ばされたのではと考えてしまう。
てつどういん達も協力をしてくれているが、どんどん憔悴していくノボリ。
一週間後に退職届を出す。
「申し訳ございません。身勝手なのは承知しておりますが、クダリを探させてください」
「ク、クラウドさん……そろそろまずいですよ」
「ああ、もう限界や」
「ただいまーー!!」
「えっ」
お土産の袋を沢山抱えて、満面の笑みで帰って来たクダリ。
「……クダリ?」
「うん。ただいま、ノボリ」
「……お……おかえりなさい……ぅううううっ!」
クダリに首に抱きついたノボリは、そのまま彼の肩に顔を埋めて泣き出した。
クダリはただ他の地方に旅行に行っていただけ、それをてつどういん達や手持ちのポケモン達に協力してもらって、ノボリに行方不明だと思い込ませていた。
近隣の警察や、船の乗り場や空港など、ノボリが聞き込みをしそうな場所や人には、事前に訳を話して協力してもらっていた。
「うぐっ……ひぐっ…ゔうぅ」
「ノボリー……。服がびちゃびちゃになるから、そろそろ離して欲しい」
「うゔゔゔゔゔゔぅっ!!!」
ソファに座ったクダリの腰に抱き着いたまま、中々泣き止まないノボリに、次第に困ってしまうクダリ。
「まだ泣き止まへんのか……なんや黒ボス、幼児返り起こしてへん?」
「ううん。ノボリ強いから普段あまり泣かない。でも一度泣き出すといつもこんな感じ。子供の時と変わんない。ノボリ、ぼく「外」に出てくるねって、書き置きしたじゃない」
「だからって!「イッシュの外」に出てるなんて!思わないじゃないですか!!」
「わたくしがっ、どれだけ、心配したとっ……思ってっ……ですか!」
「うん。でもそれはこっちのセリフ。……ノボリ。きみがいない間、ぼくがどれだけ心配したと思ってるの?」
静かな声で問いかけられてノボリが顔を上げると、クダリが寂し気な笑みを浮かべていた。
「心配させてごめんね。でもノボリに分かって欲しかったの」
未だに泣き止まないノボリの頭を撫でながら、理由を話し始めるクダリ。
「ぼくね……怖かった」
「ノボリが楽しい事とか面白い事を見つけて、それに向かって走ってる姿を見てて、無事に帰って来てくれて本当に嬉しかった。……でも同時に、またぼくを置いてどこかへ行っちゃいそうに思えてきて怖かったの」
「ごめんないさい、クダリ」
「すごくっ、……すごぐ、心配しばした」
「うん」
「クダリに何があっだらって……考えっ、のが……ごわがった!」
「そうでしょ」
「あなだが……いない家にっ、帰るのがっ……ざびじがった!」
「うん、すっごく辛いよね」
「ひくっ……うっ……もう、二度とっ……会えないかど……思いまじた」
「そうだね」
「もう二度と、置いてっ、かないでくださいましっ!」
「うん。ノボリもだよ」
「はいっ……!」
それから少し暴走列車が落ち着いて、二人でのんびりする時間も大切にするようになるノボリと、それに寄り添う嬉しそうなクダリ。
「明日は久しぶりに何もせず家でゆっくりしましょうか」
「うん」

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